開発ノート 2026年08月31日 by 神田

カニさんの「水換えて」に応えてみた

カニさんの「水換えて」に応えてみた

前回の記事で、家で飼っている3匹のサワガニのために、自動で水やりをする仕組みを作っているという話を少ししました。

「いつかこのブログで紹介できれば」と書いたので、今回はその続きを。

今日は、我が家のカニさん水やりシステムについて書いてみようと思います。

仕事でシステムを作ることは毎日のようにやっていますが、今回のお客さんは人ではありません。

サワガニです(笑)。

サワガニってどんな生き物?

皆さん、サワガニがどんな生き物かご存じでしょうか?

書いている私は、少年たちからサワガニをもらうまで、ほとんど知りませんでした。

飼い始めてみると、意外と知らないことばかりです。

まずは、サワガニがどんな環境で暮らしているのか、簡単にまとめてみます。

項目

内容

生息環境

山間部の清流や川、水路など、きれいな水のある場所

温度

水温20〜25℃程度の涼しい環境

水質

きれいで酸素を含んだ水を好む

食べ物

雑食性。野菜、イトミミズ、エビ・ザリガニ用の餌など

寿命

飼育環境では5〜10年ほど生きることもある

参考:東京アクアガーデン「サワガニの飼育方法!特徴から生態、おすすめの水槽環境から餌について

毎日続く、水換え問題....

飼い始めて特に困ったのが、水換えでした。

サワガニはきれいな水を好むので、水槽の水をできるだけ清潔に保っておく必要があります。

水がきれいなときは、カニさんたちは隠れ家に入っていることが多いのですが、水が汚れてにおいがしてくると、なぜかみんな外に出てきます。

まるで、

そろそろ水、換えてよ

と訴えているようです。

そうなると、こちらも放っておけません。

仕事で帰るのが遅くなった日でも、結局その日のうちに水換えをすることになります。

しかも、仕事では県外へ出張することもあります。

数日家を空けることになったら、この水換えをどうするか。

ここが、だんだん大きな問題になってきました。

好きな言葉は「自動化」

毎日の水換えをどうにかできないか。

そこで出てきたのが、私の好きな言葉。

「自動化」です。

どうせなら、人が毎日水を換えなくても、きれいな水を維持できる仕組みにしてしまおう。

そんなところから、今回の設計を考え始めました。

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水槽から流れた水をいくつかのろ過材に通し、最後にポンプで水槽へ戻します。

ろ過するところでは、大きなゴミを取り除くだけではなく、活性炭やゼオライト、リング状のろ材なども使います。

さらに今回は、サンミューズも使うことにしました。

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サンミューズに含まれる微生物の力も借りながら、ろ材に微生物が定着し、水の中の汚れを分解して水をきれいにしていく仕組みです。

フィルターでゴミを取るだけではなく、微生物にも水をきれいにする仕事をしてもらうわけです。

人が毎日水換えをする代わりに、ポンプとろ材、そして微生物に働いてもらう。

私の好きな言葉、「自動化」にだんだん近づいてきました。

さらに、水温と水質もセンサーで確認できるようにします。

当初は水を冷やすためのクーラーも考えました。

ただ、我が家にはサワガニのほかにもヤドカリなどがいます。

それなら水槽だけを冷やすより、家そのものを涼しくしてしまおうということで、今回はクーラーをシステムには組み込まないことにしました。

必要なものをそろえてみる

購入品

役割

金額

3段チェスト

1段目を水槽、2段目をろ過槽、3段目を機械スペースとして使用

4,106円

ESP32-S3

システム全体の制御・Wi-Fi通信

3,367円

TDS水質センサー

水質の確認

1,988円

DS18B20温度センサー

水温の確認

1,199円

水中ポンプ

ろ過した水を水槽へ戻す

1,088円

ホース・コネクタ

水の通り道

1,398円

ウールろ材

大きなゴミを取り除く

213円

かき殻・活性炭・ゼオライト

水のにおいや汚れを減らす

382円

リング状ろ材

微生物が住みつく場所

950円

サンミューズ

水をきれいにする微生物を補う

624円

活性炭

ろ過能力を補うために追加

524円

スイッチ類

電源操作・通知用

1,078円

ポンプ速度制御モジュール

ポンプの速度制御用として購入

1,299円

細かな部品まで含めると、今回かかった金額は18,216円でした。

ただし、モジュールや部品の中には複数個セットで購入したものもあり、ホースやろ材などもすべて使い切るわけではありません。

そのため、実際に今回のカニさん水循環システムで使用した分だけで考えると、製作コストはもう少し安くなります。

3段チェストをカニさん仕様にしてみる

この中で、今回ちょっと変わった使い方をするのが3段チェストです。

1段目がカニさんの水槽。
2段目がろ過。
3段目がポンプやセンサーなどの機械室。

という構成にしました。

普通なら衣類などを入れるチェストですが、今回はカニさんの水循環システムになってもらいます。

限られたスペースの中に、水槽、ろ過、機械をまとめられるので、今回の仕組みにちょうどよさそうでした。

だんだん「水槽」というより、小さなシステムになってきました。

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1段目を水槽、2段目をろ過、3段目を機械室として使っています。

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1段目の水槽を上から見るとこんな感じです。隠れ家やエサ皿も置いています。

3段チェストをカニさん仕様にしてみる

水を循環させて、ろ過できるようになった。

これでひとまず完成……と言いたいところですが、もう一つ気になることがありました。

ちゃんと水温や水質が問題ない状態なのか。

家にいるときなら水槽を見れば確認できますが、県外出張などで家を空けていると、そうはいきません。

そこで、水温と水質をセンサーで取得し、現在の状態を確認できるようにしました。

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水温や水質から環境をスコア化し、状態に応じて注意やアドバイスも表示するようにしています。

さらに、状況はメールでも確認できるようにしました。

これなら出張先にいても、

「今日のカニさん、大丈夫かな」

と気になったときに確認できます。

水換えを自動化するだけではなく、状態を見守るところまで自動化する。

ここまでできて、ようやく安心して家を空けられる仕組みに近づいてきました。

自動化すること、しないこと

サワガニを飼い始めて、思っていたよりも長く生きることを知りました。

せっかく我が家に来てくれたので、これからもできるだけ長く、一緒に暮らしていきたいと思っています。

今回の水循環システムも、もともとは毎日の水換えを少しでも楽にしたい、というところから始まりました。

私は「自動化」という言葉も、仕組みを考えることも好きです。

ただ、何でも自動化すればいいというものでもないと思っています。

今はAIもありますし、便利なサービスや機能もたくさんあります。

だからこそ、どこを自動化して、どこは自分たちの手でやるのか。

そのバランスを考えることも大切なのかもしれません。

今回も、どうやったら水を循環させられるかを頭で考えて、部品を選び、はんだごてを使いながら一つずつつないでいきました。

便利にするための仕組みを、自分たちの手で考えて作っていく。

そんな時間が、やっぱり楽しかった。

自動化するところは自動化する。

でも、考えることや作ることまで全部手放さない。

これからも、そんなちょうどいいところを探しながら、カニさんたちと一緒にこのシステムも育てていこうと思います。

神田

神田

システムエンジニア歴25年以上。 これまでいろいろなシステム開発に携わり、「こんなの作れる?」と言われたら、まずはどう作るか考えるタイプです。 システム会社「合同会社ファム」を立ち上げ、現在も日々あれこれ開発しています。 趣味は、少年たちからもらった3匹のサワガニを育てること。 毎日様子を見ながら、のんびり成長を見守っています。